パパタブの遺品を整理していたら古いカメラを見つけました。
手に取ってみるとずっしり重い。今の電子機器には無い重さです。
色々調べてみるとどうやらRicoh 300sという機種だとわかりました。
なんと、電池不要の完全機械式です。
ママタブがこの写真機についてのエピソードを教えてくれました。
これはパパタブが初めて買ったカメラなのだそうな。
当時で1万円。昭和40年頃なので今で言うと10万円くらいかな?
まだ就職前だった(中学生?)パパタブは新聞配達のバイトでお金を貯めて買おうとしたけれど、どう頑張っても半額分しか準備できなかったのだとか。
でも欲しくて欲しくて、毎日カメラ屋さんに行ってはショーウインドウを眺めていたんだって。
見かねたパパタブの父、つまりワタクのじいさん、一念発起してカメラ屋に交渉して値切りに値切った。
「おい写真屋!わりゃ殿様商売しやがって。こんな小さな子がカメラほしさに一所懸命アルバイトして小遣い貯めて、毎日毎日見に来ているというのに売らないとはどういうことだだ!?それが商売人のやることだかぇ?いけねぇじゃねえか。子供のためだ、やい!言い値で売れってこと!」
結果、半額で買ったそうな・・・。
子煩悩なじいさん。
まあ、本当はじいさんの散在(過度の飲酒)が原因で我が家は貧乏だったらしいのだけれど。
じいさんは暫く肝臓を病んだ末パパタブ17歳の時に亡くなったので、このカメラを買ったのはおそらく15歳ごろでしょう。
最後の姿をパパタブが残しています。
あまりの悲しさに泣くことすら出来なかったという最後の姿。稼ぐのも使うのも上手かったお洒落さん。
会ったことの無いワタクのヒーロー、桜町の酔っ払い。
松本にあった「巻きタブ青果店」の看板もわずかにこのカメラで記録されていました。
写っているのは伯母と叔母。
すこし、このカメラを使ってみることにしました。
(つづく)